鈴芽 ~幸せのカタチ~
えっちゃんが帰ってから何時間経っただろう。

ウォークマンの音楽は2周目に入っている。

9時半ごろまでは、まだ人が出て行く姿はちらほらあった。

でももう人がでてくる気配がほとんどない。

さすがにもう働いてないよなあ。

諦めかけたその時、

見覚えのある人が出てきた!

『オジサン!!』

嬉しくて嬉しくて

走ってオジサンに飛びついた。

『スズメちゃん…?!』
私の頭の上でオジサンの驚いている声が聞こえる。

オジサンの声だ。

オジサンの低くて優しい声。

オジサンの大きな体。

少しでているお腹。

オジサンを感じる。

本物だ。

段々薄れていた記憶が鮮明に甦る。
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