☆終わり=始まり☆
目を開けると、懐かしい景色が広がっていた。
私は急いで鞄から携帯を取り出して実家に電話をかけた。

「もしもし、お母さん。菜緒だけど、もうすぐしたら着くから。」

用件だけ伝えると電話を切り、また懐かしい景色に目を戻した。
薄暗くなっている景色は少し寂しさを与えてきた。
高速バスを降りると、まだお母さんは着いていなかったので近くにあるベンチに座った。
バスの中から見えた暗さから、また一段と暗くなったようだった。
ソラを見上げると、ところどころに星が輝いていた。
私は白い息を吐きながら星たちを見つめていると

「菜緒!!」

とお母さんの呼ぶ声が聞こえてきた。
車道に目を向けると、見覚えのある車の窓からお母さんが手を振っていた。
私はゆっくり立ち上がり車に近づいていった。
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