☆終わり=始まり☆
放課後、私たちは学校の近くにある居酒屋に入り、他愛のない話をして盛り上がっていた。


―ブーブーブー。


テーブルの上に置いていた私の携帯が振るえていた。
画面を見ると“桜木葵”という表示が出ていたため、私は3人に「ごめん!!」とだけ言って店の外に出た。
葵は地元の大学に通っているが、度々私たちは連絡を取り合っているし、長期休みに入ると遊んでいるため、今でも私たちの関係は健在である。

「もしもし、葵??どうしたぁ??」

「あっ、菜緒!!今、大丈夫??」

相変わらず、葵は元気な声で話してきた。
その元気に私も声のトーンが高くなる。

「大丈夫!!」

「菜緒のほうにも同窓会のハガキ来た??」

私は葵のひと言で、昨日お母さんから届いたメールを思い出した。

「中学の同窓会でしょう??昨日、お母さんから連絡もらったよ。詳しくはわかんないけど。」

私がそう言うと、葵は

「この前、成人式は帰ってくるって言ってたでしょう??同窓会の日、成人式の前日なんだよね。菜緒、同窓会どうするの??」

「う~ん。葵は行くの??」

「私は菜緒が行くなら行こうかなぁって思っているところ。んで、電話したわけ。」

葵が受話器の向こうで笑いながら言った。

「そっかぁ。同窓会って全部のクラス??」

「うん、そうみたい。学校の近くに居酒屋できたの知ってる??場所はそこみたいなんだ。」

「へぇ~。居酒屋なんてできたんだぁ。」

私はこの5年間学校の近くへは足を運んでいなかった。
地元もこの5年で少しずつ変化をしていった。
昔の面影をどこかに残しながら少しずつ少しずつ...。
私が黙っていると、受話器の向こうで葵が話し始めた。

「幹事が里奈たちのグループでね。できれば参加して欲しいって言われてんだよね。」

葵の少し困ったような言葉を聞いて、同じクラスだった里奈たちの顔が浮かんできた。
あまり里奈たちと遊んだ記憶はないが、昔の友達の誘いを断ることは難しい。
それに里奈たちが幹事だと楽しい同窓会になるのでは…そんなことを思っていた。
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