☆終わり=始まり☆
第Ⅱ章。
卒業式の日、初めて連と2人で写真を撮った。
もう、5年も前のことだ。
卒業式の日は快晴で、雲ひとつなかった。
前日と同じキレイなソラだったのを今でも思い出す。
卒業式が終わり、教室ではすすり泣きの声と一緒に最後のHRが始まっていた。
担任の先生の最後の言葉は忘れてしまった。
でも、いい言葉だったのだろうと思う。
確か、HRの途中にクラスメイトを見渡すと、女子の中では私だけが泣いていないことに気づいた。
今でもはっきりと憶えている。

HRも終わり、私は一通り仲のいい友達と写真を撮ると運動場の真ん中に歩いていった。
この頃は、デジカメがなくてコンビニなどで売っているインスタントカメラだった。
本当は屋上に行きたかったけど、卒業式の日は屋上のドアには鍵が掛かっており、開かなかった。
仕方なく、運動場の真ん中まで歩くとカメラのノブを回した。
ゆっくりレンズをソラに向けて、何枚も何枚も撮っていると足音が聞こえてきた。
足音のほうに顔を向けると、そこには連がいた。
連は何も言わず、私の隣まで歩いてくるとソラを見上げた。
私も連の真似をして見上げた。
しばらく経ってから連は言った。

「そのソラの写真、俺にもちょうだい。」

私は驚いて連に顔を向けると、連はニカッと笑っていた。

「いいけど、何枚いるの?」

「何枚撮った?」

私は手で何枚撮ったか数え出したが、自分でもわからなくなり

「いっぱい!!」

とだけ言った。
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