よりみち喫茶
それからもう一つ感じたのは、まるで運命の人に出会ったかのような、ビビッとした衝撃とも言うべき何か。
何とも言えない高揚感が全身を駆け抜けて、まるで武者震いのように体がブルりと震えた。
その瞬間、まるで天啓のように頭の中にとある考えがひらめいた。
ここに来るまですっかり沈みきっていた心が、まるで嘘のように上向きになり、更には弾むように高鳴っていく。
「決めた」
扉の上部に取り付けられた小さなライトと、それに淡く照らされた看板。
古びた扉を引き開ければ、チリンと微かに響く鈴の音。
それから、ここまで来てくれた人達を、温かく迎え入れる笑顔。
「ここで、お店をやろう。温かくて、柔らかくて、ホッとするような、そんなお店を。……わたしと、はるくんの二人で」