【続】早瀬くん、好き。

私は早瀬くんに背を向けて階段の方へ向かう。



「おい、待てよ。
送ってく」


「い、いいよ…っ‼︎
私は大丈夫だからっ」


「けど、送ってくから。
もう暗いし」



そう言って私の腕をとって階段を下りはじめる早瀬くん。



ずるいよ…早瀬くんはずるい…。


こんなことされたら私諦めきれないよ。



けど…、家に着いたら言うんだ。



今までありがとうって…。


笑顔で言わなくちゃ…ね。



無言のまま私の家に着く。




「じゃあ…」



そう言って帰ろうとする早瀬くん。



だめ…私言わなきゃっ。


心春言うんだっ‼︎‼︎‼︎




「あ、あのっ‼︎
早瀬くんっ」




早瀬くんは、私の方を振り向く。





「い、今までありがと…っ。

幸せになってねっ?」





言えた…。


私なりの笑顔で伝えられた。


多少声は震えてたけど言えたよ私。



泣くの我慢して言えたよ…っ。




早瀬くんは私の言葉に一瞬顔を歪ませながらも微笑んでくれた。




部屋に入ると涙が溢れてきた。

さっき我慢してた分がいっきに溢れ出す。

一ヶ月の付き合ってた日々が終わりを告げた。

それから夏休みも終わって新学期が始まろうとしていたーー。



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