【続】早瀬くん、好き。
「ありがと…。
でもさ帰りは気をつけた方がいいかもよ?
早瀬だって何もないのにそんなこと言わないだろうし…」
愛花は心配そうに私を見つめる。
た、確かにそうだよね。
早瀬くんだって何もないのにそんなこと言うはずないもん…。
「うん!
わかった…!
じゃあ委員会頑張ってねー?」
私はそう言いながらカバンを持ち教室を出る。
はぁーあ…。
早瀬くんと久しぶりに話したな…。
別れてから本当にたった1ヶ月しかたってないのに早瀬くんが恋しくてたまらないよ…。
夕焼けの空を見上げてそんなことを思う私は意外とロマンチストなのかもしれない。
「あれ…?
鮎原?」
いきなり声をかけられ後ろを振り向く。
「…あっ、中津くん?」
中津くんは隣町の高校の制服を着ていた。
「また会ったな。
…よかったらそこの公園で少し話さね?」
中津くんが指差したのは小さな近所の公園。
今は早瀬くんのことで頭がいっぱいで誰とも話したくない気分だったけれど…
嫌です。なんて言えない私はうんと頷いた。
「…本当久しぶりだよなぁ。
もう2年くらい会ってなかったしなぁ…」
公園のベンチに腰を降ろした中津くんが言う。
「う、うん…。
そうだね」
「なんか元気なくね?
彼氏と喧嘩でもした?」
「えっ…」
鋭いな…。喧嘩ではないけど。
「はは、図星か…。
前水族館にいた黒髪の方鮎原の彼氏だろ?」
元カレ…だけどね。
「なんで黒髪の方が彼氏ってわかったの?」
雄介くんだっていたのに…。
「わかるよ、そんくらい。
だって黒髪のイケメン俺と鮎原が話してるのみてめっちゃ睨んでたし…」
えっ、なにそれ…。
そんなはずないよ。
だってあの日私は早瀬くんにふられたんだよ?
そんなこと言われたら諦めきれなくなっちゃうよ私…。
「はは…それはないよ。
私あの日にねふられちゃったんだ…」
「は?
それ…まじで言ってんの?」
まじにしたくないけど本当のことなんだよね、これが。
それにしても…中津くん驚きすぎだよ。