【続】早瀬くん、好き。
「ちょ…っ、いい加減に…えっ?」
私が言葉を最後まで言えなかったのは
今最も会いたくない人に会ってしまったから。
「…はや…せくん?」
私のその言葉に中津くんはやっと腕を私の体から離してくれる。
「…1人で帰ったって聞いたから探しにきたけどその必要なかったみてぇだな。
悪い、邪魔して…」
どうして…?
どうして探しにきてくれたの?
どうして謝ったりなんかするの?
どうしてそんな悲しそうな顔をするの…?
「は、早瀬くん!
待って…待ってよっ‼︎‼︎」
歩いていってしまった早瀬くんを追いかけようとすると
バシっ
中津くんが私の腕をつかんで引き止める。
「や、やめてよ…っ。
離してっ、私早瀬くんのところ行かなきゃ…」
「でも鮎原泣いてる。
泣いてまでそいつのとこ行きたい?」
えっ、泣いてる…?
気付くと目からは温かいものが溢れていた。
「…ごめん。
やっぱり泣いてでも私は早瀬くんのとこ行きたいの。
早瀬くん以上に好きになれる人なんて
もう絶対現れないの…。
これだけは自信を持って言える」
もし…早瀬くんが他に好きな人がいても私はきっと早瀬くんのこと嫌いになんてなれないよ。
早瀬くんしか好きになれないの、もう。
「…鮎原」
ごめんね、中津くん。
私は中津くんの手を振り払って早瀬くんが歩いていった道を走り出した。