【続】早瀬くん、好き。
少し走ると早瀬くんの後ろ姿が見えてくる。
「は、早瀬くん…っ」
私は早瀬くんの腕を引っ張って引き止める。
「鮎原…?
何でここにいんの?」
「あ、あのねっ、さっきのは誤解なの…っ!
中津くんは中学の時同じクラスだったの。
本当にそれだけなの…」
だから誤解しないで…。
私が好きなのは早瀬くんなの。
「…そんなに言い訳しなくていいから。
別に俺らもう付き合ってねぇんだから誤解も何もないだろ?」
ズキンっ
早瀬くんの言葉が胸に刺さる。
ポロポロ涙が出てくる。
「ひっく…ふぇ…っ」
涙は止まらない。
「おい、泣くなよ…」
早瀬くんは困った顔をする。
ごめんね…困らせたりして。
「とりあえず場所移動な。
ここじゃあ目立つ」
住宅街のこの場所は確かに目立つ。
早瀬くんは泣き続ける私の腕をひっぱって路地裏に連れて行く。
「…で?お前は何で泣いてんの?」
早瀬くんは優しい声で私に聞く。
でも涙が止まってくれなくて声が出せないから首を横にふる。
「理由もなく泣いてるわけじゃねぇだろ?
…俺のせい?だよな」
私はコクンと頷く。
「…はは、正直な奴だなー」
だって…本当のことだもん。
「…早瀬くんが…っ、好ぎ…なの…っ」
泣きながら言う私。
「はぁー、それさすがの俺もキツイわ…」
やっぱり…そうだよね。
ごめんね、めんどくさい女だよね。
「悪い…許せよ」
えっ…何を…?
「…んっ!?」