【続】早瀬くん、好き。


少し走ると早瀬くんの後ろ姿が見えてくる。



「は、早瀬くん…っ」



私は早瀬くんの腕を引っ張って引き止める。



「鮎原…?
何でここにいんの?」




「あ、あのねっ、さっきのは誤解なの…っ!

中津くんは中学の時同じクラスだったの。
本当にそれだけなの…」




だから誤解しないで…。
私が好きなのは早瀬くんなの。



「…そんなに言い訳しなくていいから。

別に俺らもう付き合ってねぇんだから誤解も何もないだろ?」



ズキンっ


早瀬くんの言葉が胸に刺さる。



ポロポロ涙が出てくる。



「ひっく…ふぇ…っ」


涙は止まらない。


「おい、泣くなよ…」


早瀬くんは困った顔をする。


ごめんね…困らせたりして。


「とりあえず場所移動な。
ここじゃあ目立つ」


住宅街のこの場所は確かに目立つ。

早瀬くんは泣き続ける私の腕をひっぱって路地裏に連れて行く。



「…で?お前は何で泣いてんの?」



早瀬くんは優しい声で私に聞く。



でも涙が止まってくれなくて声が出せないから首を横にふる。



「理由もなく泣いてるわけじゃねぇだろ?

…俺のせい?だよな」



私はコクンと頷く。



「…はは、正直な奴だなー」



だって…本当のことだもん。




「…早瀬くんが…っ、好ぎ…なの…っ」



泣きながら言う私。



「はぁー、それさすがの俺もキツイわ…」



やっぱり…そうだよね。
ごめんね、めんどくさい女だよね。




「悪い…許せよ」





えっ…何を…?





「…んっ!?」
< 116 / 222 >

この作品をシェア

pagetop