【続】早瀬くん、好き。
早瀬くんのお父さんーサイドー
ーガラガラ
患者のカルテをみていた俺の診察室の扉が開く。
「…月夜?」
びっくりしたなんてもんじゃない。
あの月夜が俺のところを訪ねてくるなんて。
「…親父今大丈夫か?」
「あぁ…」
月夜と顔を合わせるのも本当に久しぶりだ。
医者という職業柄、夜家にいることも全然ないし月夜とは逆の生活をしていた。
「親父はさ、お袋のことちゃんと愛してたか?」
この言葉にはさらに驚かされた。
だってあの月夜から愛してるなんて言葉なんて聞いたことなんてなかったから。
「…あぁ。
俺だって愛してもない女と結婚なんてしないさ」
驚きながらも俺のちゃんとした気持ちを話した。
「じゃあ親父もお袋が死んで寂しいんだよな?」
「…寂しいさ。
けど、俺はお前らの親父でもある。
寂しくたって仕事をしてお前らに学校も行かせてきちんとした人生送ってもらわなきゃあいつに顔向けできないだろ…?」
「…親父」
「でも、悪かったと思ってる葬式にさえ行かないなんて旦那としても父親としても失格だと思ってる…」
俺は月夜に頭を下げる。