【続】早瀬くん、好き。
「…そっか。
それ聞いて安心した。
だから顔上げろよ…」
俺は月夜にそう言われ顔を上げる。
けど、今日1番びっくりしたのは
顔を上げてみた月夜が笑っていたことだ。
あれ以来俺は月夜の笑顔なんてみていなかったからだ。
「…なにそんな驚いてんの?」
「え、あ、いや…お前の笑顔久しぶりにみたから」
「…別に俺だって笑うよ。」
「そうだよな…。
なんか変わったな、月夜」
表情が柔らかくなったし、何より俺と向き合おうとしてくれた。
「…俺さ、今付き合ってる子がいるんだけど、そいつバカだしチビだしうるさいし顔だって美人とは程遠い奴なんだ。
…でも、俺はそいつがいなくなったらすげー悲しいし寂しいと思う。」
月夜は愛しそうに微笑んでそういった。
「そうか。
月夜にそうゆうこができたんだな…」
愛しいと思える人が…。
月夜がいろんな女と遊びまわってたのは俺だってわかってた。
だからこそ、安心した気持ちになる。
「あぁ…。
そいつさバカみたいに真っ直ぐでさ
なんかそいつ見てたら俺もウジウジしてらんねーなって。
親父と向き合わおうって思えたんだ」
月夜…。
「まぁ…それだけだから。
じゃあな」
そう言って診察室の扉に手をかける月夜。
「つ、月夜っ‼︎
今度、その子うちに連れて来い」
「…は?なんで?」
「なんでって…その子と結婚するつもりなんだろ?」
俺がそう言うと
「…あぁ」
月夜はそう言って診察室を出て行った。