【短編】いつからか俺たちは。
「好きだ、菜月。すげぇ、好き…」
菜月がいないとこんなにも簡単に言えんだよ。
だけど、こんなこと菜月に伝えないと何の意味もない。
一人で呟いたって空しく響いて消えていくだけ。
いつか伝えたい。
それが何年先かは分かんねぇけど。その時はちゃんと、受け止めてくれれば良いな。
そんな淡い想いを抱きながら俺は涙を流した。
さっきの呟きを、俺をこっそり追いかけてきた菜月に聞かれていたことも知らずに。
願う未来がそう遠くないことを、まだ俺は知らない。
END