ストロベリー*ワルツ
「じゃあ、電気消すぞ。」


『ん。』


私が泊まる時は翔ちゃんは床に布団をひいて寝る。
多少罪悪感はあるけど、翔ちゃんがいいって言うからあまり気にしなくなった。


暗くなった部屋で瞳を閉じて考える。


もし、無理矢理ピアノをやめたらお母さんは怒るかな?
…怒るな。絶対。


翔ちゃんにも会えなくなるのかな。だって、教室にくる理由がないもの。


本当はわかってる。私は翔ちゃんが好きなんだってことぐらい。


ただ、認めてしまったら、もう後戻りはできない気がして。


『もう、わかんないよ。』


口内で呟いたその言葉は、暗闇の中に消えた。



< 16 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop