ストロベリー*ワルツ
『なんでもないよ?』


「うん?」


『ただ、なんとなく帰りたくないだけ。』


「本当に?」


『もう、本当だってば。』


「そっか。」

だけど、翔ちゃんに心配はかけたくない。


私は何故かピアノの才能があるらしくて、物心ついたときからピアノを弾いてた。


親にコンクールに出場させられて、いくつもの賞をとってきた。


でも両親に褒められたことはなくて、私は飾りとして使われてきたんだ。


お客さんが来たときのために賞状たちはリビングに何年も置き去りにされてる。


一回、ちゃんと”私”を見てほしくてピアノをやめたいと言った日はお母さんに怒鳴られて、ぶたれた。


その頃だ。翔ちゃんと出会ったのは。
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