ストロベリー*ワルツ
『翔ちゃんが真面目に話すとか珍しー。』


「どういう意味だ、それ。」


翔ちゃんが真剣だと、全てが当たってるような気がして・・・怖い。


私は湯呑をそっと置いて椅子に座って鍵盤に手を置いた。


「なんだ、結局弾くのか。」


弾くのはショパン作曲の「幻想即興曲」


目が回るような連符を弾き鳴らしていく。


「ストップ。」


翔ちゃんに止められたのは曲の中盤に差し掛かってから。


「お前今日どうした?音が乱暴だぞ。」


ピアノの嫌なところは人の心情が音となって表れるところだ。


『別に。ただそう弾きたかっただけ。』


でも、翔ちゃんに心配かけられないから。あえてはぐらかす。
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