甘い恋飯は残業後に
「ふたりで来るとはねぇ」
叔父さんはニヤニヤしながら、それぞれの目の前にモツ煮を置いた。
「だから、わたしが難波さんに奢る約束してたからだって、さっき言ったでしょう?」
「同じ職場なんだから、ふたりで来るのはぜんぜん不自然じゃないですよ?」
そう言いながらも、美桜ちゃんはやはりそれぞれの前にラムチョップの皿を置いてニヤニヤしている。もう、美桜ちゃんまで!
隣からは小さなため息が聞こえてきた。
「随分と嫌がられているようだな、俺は。とりあえず、乾杯ぐらいはしてくれよ」
「別に嫌がっている訳じゃ……」
「万椰は照れてるだけだから」
面白がっているのか、横から叔父さんが余計なことを言ってくれる。
わたしは居た堪れず、視線を逸らしたまま難波さんとグラスを合わせた。