甘い恋飯は残業後に


「面白いぐらいにおんなじだなぁ、お前らは」

「……何が?」

叔父さんはもう、からかう態勢だ。わたしは牽制の意味を込めて、言葉に少し棘を散らしてやる。


「あれを通常メニューには載せられないって言った時の反応だよ。宗司も物凄くがっかりしてたよなぁ?」

「そう、でしたっけ?」

難波さん本人は、知らないな、という顔をしているつもりなのだろうが、動揺が隠しきれていない。うっすら、顔も赤らんでいる。


「そういえば、いつも宗司は必ず最後にデザートを頼むのに、万椰の隣に来た時は頼まなかったよなぁ。万椰に甘いもの好きが知られるのが恥ずかしいのか?」

どうやら、叔父さんのからかいの矛先は難波さんに移ったようだ。


難波さんが、甘いもの好き?

意外な素顔に、思わず横顔をまじまじと見つめてしまう。難波さんはいよいよ、耳まで赤くなっている。

「べ、つに、たまたま頼まなかっただけでっ……」

「えっ、本当に甘いもの好きなんですか?」

「…………悪いか」

隣の彼はすっかりふて腐れて、ワインを呷っている。


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