甘い恋飯は残業後に
ふたりと駅で別れ、わたしは逸る気持ちを抑えながら待ち合わせ場所に向かった。
今日は金曜日。
この週末は難波さんも久しぶりの完全オフで、飲み会の後会う約束をしていた。わたしは「今から向かいます」と彼にメッセージを送り、電車に乗り込む。
駅を出た噴水のある広場で、難波さんの姿を探した。週末だからか、人が多すぎてなかなか見つけられない。
「――万椰」
名前を呼ばれたと同時に肩を叩かれる。
振り向けば、ずっと会いたかった人がそこにいた。
わたしは、難波さんをじっと見つめた。
「……見つけてくれて、傍にいてくれて、ありがとうございます」
そう言うと、彼は怪訝そうな顔をした。
「酔ってるのか? 確かに結構傍にいたのに、見つけられなかったみたいだからな」
わたしはギュッと、彼の腕を掴まえる。
――もう、孤独じゃない。
花を傷つけたり毟って棄てたりせず、黙って傍で見守っていてくれる人がここにいる。
そう思うと、幸せな気持ちがこみ上げてくる。
難波さんは微笑んで、わたしの頭をポンポンと軽く叩いた。