1粒の勇気
僕はラオ。ラオ・シャルル。14歳

一応王族。

今、とても気がかりなことがある。過去の話だ



あの日、僕は召使のリサと街へ買い物に出かけた。

「ラオ様。今日は何を買うおつもりで?」

「あ、新しい参考書と剣。お稽古のやつが壊れちゃって・・・」

「そうですか。ならあの商店に入りましょうか」

そう言って微笑んだリサ。

スタスタと歩く。

曲がり角を曲がろうとしたとき、

「安いよ~!今値下げ中だよ~!今回は上玉さ!」

という声がした。その後その声とは別に

「100!!俺100で買うよ!!」

「なら、俺は150出そう!!」

男達が競り合っていた。

何を売っているのだろう。あの頃の僕は興味津々だった。

気になって立ち止まっていると、リサが心配そうに何かを言おうとしていた。

僕はそれがわかっていたため、あえて僕が先に喋った

「あそこの商人は何を売っているんだい?」

リサは困った顔をした。教えていいものか迷ったのであろう。

でもすぐに何かを決断したような眼をして僕に言った。

「ラオ様。あちらの商人様が売られていらっしゃいますモノは、

奴隷。即ち、人間でございます。」

僕は言葉を失った。

人間が人間を売っているのか?

そんなのおかしくないか?

人としておかしい。

何の為に?

人は玩具じゃないんだ。

「同じ人間なのに・・・」

「現在、奴隷を売ってはならないという法律はございません。」

俯いたリサが言う。

奴隷商人にイラついた僕は。たくさんの人をかき分けながら商人の声のするほうへ向かった。

「いけません!!ラオ様!!駄目です!!」

リサの声に背を向けて。



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