1粒の勇気
気になることがいくつかある。
「君は何者なんだ?リオンさんも君も普通の平民には見えないのだが。」
カノンさんに話しかける。
「お姉ちゃん、リオン・アラナスは、
ハレル王国の゛元国王゛でございます。
それと同時に魔術師でもありました。
いろんな病を治してくれたのですよ。
そして私カノン・アラナスは、リオンの妹であり、゛現国王゛でございます。」
「えっ、王族だったのですか?」
平民じゃない事は予想してはいたが、まさかの王族。
リオンさんは王族なのに連れ去られたのか?
王族なら剣術や護身術などは習っていたはずだ。
あの程度の商人なんざ対処できるだろう。
「お姉ちゃんは私を守ってくれたんです。
私のこの髪。ブロンドの髪は、トキア帝国で、高く取引されるんです。
それに王族ならケアもされてるだろうという考えだったのでしょう。
商人たちは私を連れて行こうとしました。
でも、お姉ちゃんが私が行くからと言って
守ってくれました。
その時に言ったんです。
『今から6年後の6月6日リメル王国の神木の下へ行きなさい。
ラオ様というお方があなたの願いを叶えてくれるはずよ。』と、
私は必ず助けに行くと約束しました。
私の国は貧しく、小さくて、でも笑顔の絶えない国でした。
でも、今は奴隷として連れて行かれる人々がいて、笑顔が消えつつあるのです。
私の願いは…。
お姉ちゃんが大切にしてたハレル王国の。国民達を守りたい。
また、笑顔の絶えない国にしたい。
奴隷の人たちを開放したい!」
カノンさんは、ホントに国を思っているんだなと思った。
「僕も同じ考えです。
この国でも奴隷が売られています。
法律上問題がないからです。今は僕の父がこの国の国王です。
僕は法律を変えるように頼んだのですが、
法律は変えられないの一点張りで…。
どうしたらいいのか…。」
本当にどうしたらいいのだろう。
悩んでいると、
「そのことで悩んでたのね?」
どこからか聞き覚えのある声がした。
アリスだ。
「もう!
怪しいと思ってついてきたの。
ハレル王国の国王様と密会でもしてたの?
あとさ、話を聞いてしまったけれど、相談くらいしなさいよね?
私も、一国の姫よ?少し位なら役に立てるかもしれないじゃない。」
アリス…。