1粒の勇気


「アリス様!お会いできて嬉しゅうございます。

私は、奴隷を売るのをやめさせたいのですが、どうすれば良いでしょうか?」

「お初お目にかかります。アリス・ベルトンと申します。

カノン陛下でよろしいのかしら?」

こんな丁寧な挨拶をするアリスは初めて見た。綺麗だな。

喋らなければ国中の男達が惚れるに違いない。
カノンさん…。カノン陛下とアリスはまだ話中のようだ。

「カノン様と呼んでよろしくて?」

「様も陛下も付けなくてよろしいですよ!

あ、あの、呼び捨てにしてくれると嬉しいです。」

カノンは恥じらいながら言った。

「わかりました。なら、私の事もアリスと呼んでください。」

「僕もカノンと呼ばせてもらうよ。ラオでいいから。」

「わかりました!!」

「それで本題なんだけど、

奴隷解放が先かなぁ?

それとも、商人達を罰するほうが先かしら?」

これは悩む。

できるだけ早く苦しい思いから開放させてあげたいし

これ以上被害を出させないようにするのが先か。

これは悩む。

するとカノンが

「悩んでる暇はございません!両方やるのです!

同時進行です!」

と言った。張り切ってるなぁ

「そうね…。

あ、風の噂ですけどね、奴隷商人にも身分があるそうよ?」

と、アリス

「ということはトップのやつがいるってことか?」

「その人を倒さなきゃ商人達を罰するのは難しいかもですね…。」
そうカノンが言った。

そうか、父さんが法律を変えないのはその人が原因なのかもしれない。

しばらく沈黙が続く。

するとアリスが

「今日はもう家に帰ろ。

ラオ?泊めてくれるよね!」

目をキラキラさせて言う。

「私はどこか宿を探します。」

宿はまだ決まってなかったのか?

「僕の家で良ければ泊めますが?」

すると、カノンの顔が急に明るくなり、

「本当ですか?!

それは嬉しいです!!」

と言った。

< 6 / 10 >

この作品をシェア

pagetop