ツンデレくんを求めてみます。
あたしはそっと中出の背中に手を回して抱きしめた。華奢な背中は意外に広かった。
抱きしめてわかる中出の体温があたしを離れたくなくさせた。甘えた中出が急に幼く見えて、ほっとけないと母性にも似た感情が沸き上がる。
「……好きやった。でも、もう昔のことや」
「うん」
中出はあたしの肩に顔を埋めたまま深く息を吸い込んだ。そしてゆっくりと息を吐き出した。
あたしはそんな中出の頭をそっと撫でた。
「…………なあ」
「ん?」
「わからん?」
「……何が?」
「…………心臓」
「心臓?」
言われたから、あたしは抱きしめたまま中出の鼓動に耳を傾けた。ドクドクと速い鼓動。
「…………あたしより速くない?」
「当たり前やろ」
はあ……と中出がため息をつく。
「こっちはいまだに緊張しとるんに」
「は?」
「奈子さんといると緊張する。楽しくないわけやない。でも、緊張の方が勝っとるから……」
「言わせんな……」と中出が呟いた。
今度は志満ちゃんのことを言っているのだろうか。
「中出、それは言わなきゃわかんないよ」
「わかっとる。でも、俺があんま言えんの知っとるやろ?」
「あんまりというかほぼ聞いたことないけど」
「こんなに緊張するんは奈子さんだけや……」
「嫌なの?」
「嫌やったら今頃付き合っとらん」
「そりゃそうか」
あたしは中出の頭に顔を近づけた。中出の匂いが鼻をつく。
「こんなん……他の奴には感じんから」
「うん」
笑みがこぼれる。中出なりに伝えようとしてくれることが嬉しい。
「……ありがと」
「なんで奈子さんが」
「初めて自分から言ってくれたから」
「……うっせ」
中出は照れたらしい。腰に回る腕に力が入って更に引き寄せられる。強引でなくとも力が強くて、中出が男なのだと改めて自覚させられる。
抱きしめてわかる中出の体温があたしを離れたくなくさせた。甘えた中出が急に幼く見えて、ほっとけないと母性にも似た感情が沸き上がる。
「……好きやった。でも、もう昔のことや」
「うん」
中出はあたしの肩に顔を埋めたまま深く息を吸い込んだ。そしてゆっくりと息を吐き出した。
あたしはそんな中出の頭をそっと撫でた。
「…………なあ」
「ん?」
「わからん?」
「……何が?」
「…………心臓」
「心臓?」
言われたから、あたしは抱きしめたまま中出の鼓動に耳を傾けた。ドクドクと速い鼓動。
「…………あたしより速くない?」
「当たり前やろ」
はあ……と中出がため息をつく。
「こっちはいまだに緊張しとるんに」
「は?」
「奈子さんといると緊張する。楽しくないわけやない。でも、緊張の方が勝っとるから……」
「言わせんな……」と中出が呟いた。
今度は志満ちゃんのことを言っているのだろうか。
「中出、それは言わなきゃわかんないよ」
「わかっとる。でも、俺があんま言えんの知っとるやろ?」
「あんまりというかほぼ聞いたことないけど」
「こんなに緊張するんは奈子さんだけや……」
「嫌なの?」
「嫌やったら今頃付き合っとらん」
「そりゃそうか」
あたしは中出の頭に顔を近づけた。中出の匂いが鼻をつく。
「こんなん……他の奴には感じんから」
「うん」
笑みがこぼれる。中出なりに伝えようとしてくれることが嬉しい。
「……ありがと」
「なんで奈子さんが」
「初めて自分から言ってくれたから」
「……うっせ」
中出は照れたらしい。腰に回る腕に力が入って更に引き寄せられる。強引でなくとも力が強くて、中出が男なのだと改めて自覚させられる。