ツンデレくんを求めてみます。
あたし達は大学の近くのコンビニに寄って夜ご飯を買った。そこから徒歩3分の、一人暮らしのあたしの家に行く。


あたし達は部屋に着いて座るなり黙々と食べ始めた。あたし達はどちらもあまり話す方ではない。


「今日ね、志満(しま)ちゃんが、中出は動物ならモグラだって言ってたよ」

「はあ?」


中出が顔をしかめてみせた。予想外だったらしい中出の表情を見て、あたしは思わず笑みがこぼれた。


志満ちゃんは、もう一人のテニス部の女子部員だ(女子は現在あたしと志満ちゃんの二人だけだ)。少しふくよかでみんなにいじられるタイプの女の子だ(あたしには突っ込むけど)。


「モグラって地中に隠れてるでしょ? そういうとこが似てるんだって」

「なんでや。俺隠れてねえわ」

「ツンデレって意味じゃない? 毒吐いて自分を隠すとこが」

「誰がツンデレや」


素直に認めないところが既にツンデレである。


あたしは声を上げて笑った。


「でもモグラ、意外に可愛いよ。ほら」


あたしはスマホを取り出してネットでモグラを検索した。そして出てきた画像を見せる。


中出はあたしの手からスマホを引ったくって画面をじっと見た。一瞬二人の指が触れてあたしは一人ドキドキしてしまう。


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