あたしの好きな人
ビュー…
「「さむっ」」
外はすっかり秋になっていて、体が身震いした。
斜めになっているフェンスに稜が登った。
あたしはフェンスの下に腰を掛けた。
「稜」
「ん?」
「あたしを元気づけるため?」
「…………さぁね」
曖昧な答え。
稜らしいと言えば、稜らしい。
「稜……」
「んー?」
なんでも聞いてあげる、そういう優しさのこもった声が、あたしを狂わす。
「稜ぉ……………」
「うん…」
「あたしね……振られたよ…。結斗にね、振られたよぉ…ふっ…ぅ……、告白したの…結斗に…頑張って告白、うぅっ…たけど、ダメ…だった…ぅっ…」
「波奈」
「振られたよぉ……うぅっ……」
「波奈っ……」
ギュっと…温もりを感じた。
後ろから、あたしを包み込むように抱きしめてくれた。