あたしの好きな人







「そろそろ泣き止まないと、キスするよ?」


「……え」







しばらくたってからの稜の一言。








「はい、泣き止んだ。波奈は笑ってないと」


「………うん…。ありがとう」


「またいつでもカモンだけど?」


「う……け、結構です」










思い出すと恥ずかしいな。






稜の前で思い切り泣いちゃったし。





だけど、スッキリした。

















「稜、本当にありがとう」


「じゃあー、そろそろ俺もみてよ?」


「…え?」


「鈍感な波奈ちゃんはやっぱり分からないか」


「………………?」


「いーや。…その前に、望月結斗とちゃんと話してね。それから言うよ」


「うん…?……でも、うん。結斗とはちゃんと話そうと思う」









やっと、そう思えた。









稜にも千枝ちゃんにも感謝だよ。










「傷つくこと恐れんな。この俺が慰めてやる」


「っ……この俺様」


「たりめーだ。……頑張れよ」


「…うん。ありがとう」









よし、ちょっと………かなり勇気を出して。











前に進もう。
















< 153 / 280 >

この作品をシェア

pagetop