あたしの好きな人
「そろそろ泣き止まないと、キスするよ?」
「……え」
しばらくたってからの稜の一言。
「はい、泣き止んだ。波奈は笑ってないと」
「………うん…。ありがとう」
「またいつでもカモンだけど?」
「う……け、結構です」
思い出すと恥ずかしいな。
稜の前で思い切り泣いちゃったし。
だけど、スッキリした。
「稜、本当にありがとう」
「じゃあー、そろそろ俺もみてよ?」
「…え?」
「鈍感な波奈ちゃんはやっぱり分からないか」
「………………?」
「いーや。…その前に、望月結斗とちゃんと話してね。それから言うよ」
「うん…?……でも、うん。結斗とはちゃんと話そうと思う」
やっと、そう思えた。
稜にも千枝ちゃんにも感謝だよ。
「傷つくこと恐れんな。この俺が慰めてやる」
「っ……この俺様」
「たりめーだ。……頑張れよ」
「…うん。ありがとう」
よし、ちょっと………かなり勇気を出して。
前に進もう。