あたしの好きな人



「桃夜…?」

「答えろ…俺の質問に答えろ」

「っ………」





桃夜の声がすごく近くで聞こえて、どうすればいいのか分からなくなる。



何もされてない、ってちゃんと言えばいいのに


平然を保てない。






「と、桃夜……」





桃夜がここまでして聞きたい理由が分からない。





「本当に…何もされてないんだよ…」

「だったらなんで」

「あたしが勝手に……緊張しただけだから…」




ドキ、ドキとさっきとは違う緊張感。


もうこれ以上…聞かないでほしい。




「……じゃあ今、俺にも緊張してる?」

「へ?」




肩をつかまれて、桃夜と向き合う形になる。




「俺に、ドキドキしてる?」




もう目の前にいるのが別人みたいだ。



桃夜がこんなことを言うなんて…誰が思いつくか。






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