あたしの好きな人
あたしの好きな人
◇◇◇◇◇
桃夜と話し合ってから数週間後。
「さむーい…」
「こうすりゃましだな」
「ちょ、稜!」
「いーじゃん、寒いんだろ?」
学校の帰り道で、稜はあたしの手を握ってポッケに入れた。
なんで一緒に帰ってるかっていうと、
稜があたしと帰りたいらしい。
ここ最近はずっとそうだ。
「…こんなの傍から見たらカップルじゃん」
「やっぱ俺らお似合いだな」
「ちがいますー」
勝手にお似合いにしないでもらいたい
「っくしょん」
「…波奈、風邪?」
「…ううん、大丈夫」
季節は冬。
って言ってもまだ11月半ば。
「家、誰かいる?」
「んー…今日は帰ってこない」
「……お前、ほんとに大丈夫か?」
稜はそう言って、あたしのおでこに手を当てた。
「これ、熱あんだろ…」
「……稜の手気持ちー」
あぁ、あたしこれ風邪ひいたな。
熱あるな。
稜の手が気持ちいなんて、どうかしてる。