あたしの好きな人
…………………
「…ん、稜…?」
目を覚ますと、見覚えのある天井が写った。
……そっか、ここ家だ。
部屋には稜がいなくて、ものすごく寂しさをおぼえた。
「稜っ…」
「波奈?どした、どっか痛いか?」
丁度ビニールをもった稜が部屋に入ってきて
途端に今度は安心感に包まれた。
「稜……どこにもいかないでね」
「熱の波奈は甘えんのか」
あたし、今…稜に甘えてるのか…
「心配してんなよ。嫌ってくらい波奈に付きまとってやっから」
普段なら、なんて言い返してたかな
………言い返す、なんて今のあたしには不必要。
むしろ、その言葉が欲しかった。
……熱の時って、なんでこんなに素直になれるのかな?