あたしの好きな人
「俺お粥とか作れねーから、これ買ってきた」
ビニールから出た、コンビニ版お粥。
今どきなんでもあるんだなーとは思った。
「こんな寒い中…わざわざありがと」
「無理して喋んなよ。食えるか?」
「…ん」
重い体を起き上がらせて、お粥に手を伸ばす。
暖房機はつけているものの、布団から出た手が寒い。
「食べさせてもいいけど…」
「……大丈夫」
こんな時にそんな事されたら、きっと熱が上がってしまう。
いっつも意地悪な稜だけど、今日はなんだか優し目の意地悪。
「氷枕もう冷たくねーな…」
「…いいよ、替えなくて」
「でも「どこにも、いかないで…よ」
わがままでごめんね。
でもわがままが止められない。
今は稜がいないと、怖くてしかたなくなる。
稜がいないと、嫌だよ。