2ばんめの王子様
楓はびくっと驚き、俯く。
「……なんで」
しばらくした後出た声は、さっきまでとは違い消えそうな声だった。
「なんでっ!なんでこんな……っ。もっとちゃんと……ちゃんと失恋したかった!!」
楓の目には涙が溜まっていて。
今にもこぼれ落ちてしまいそうで。
だけど俺に泣いている姿を見られたくないのだろうか。
歯を食いしばって涙をこらえていた。
そんな楓を見たらいてもたってもいられず、気づいたら楓を抱きしめていた。
「…………泣けよ」