2ばんめの王子様
いつも通りの楓の様子にほっとしつつ俺は屋上のドアを開けた。
「お、雨止んでんじゃん」
空はまだ雲で覆われていたが、さっきより薄い灰色になっていた。
所々にある水たまりが、その空を映している。
楓が俺を追い越しドアの向こうへと走っていく。
「…………はははっ!」
そしていきなり笑いながらくるくると回りだした。
え。
俺は近くに行こうと踏み出そうとしていた右足を止めた。
「……楓さん?」
若干引き気味で楓の名前を呼ぶ。