2ばんめの王子様
なんだよ、可愛いな。
……じゃなくてっ。
「とにかくっ!」
俺は楓の視線をこちらに戻させようと大きな声で言う。
「まだ俺のことなんとも思ってないのは分かってる。だから返事はいらない」
ふと気づけば再び屋上に入った時よりも雲はなくなっていて、薄い灰色より青が勝っていた。
見え隠れする太陽が、俺の背中を押してくれるようだった。
まっすぐ楓を見つめる。
そしてはっきりと言った。
「だけどいつか、必ず楓の1番になってみせる」