適当魔法少女・りおん
涙ながらに悲哀を訴えるステッキさん――。
「ええええっ――」
突拍子もない吐露に、ちょっと引くりおん――。
「チャーンス――」
怪しく囁き、ステッキさんが仕掛ける――。
「お願いしますぅ、どうかこのダメダメステッキ野郎と契約して下さい――グズでのろまなカメですが、やるっきゃないんですぅぅぅ――」
「全力で、全力でりおんを支えますからぁ――契約して下さいぃぃぃ――」
「お願いしますぅぅぅ――――」
りおんの足に絡み、身を捩らせながら、涙声で懇願するステッキさん――さすがのりおんも、無下にできない雰囲気を感じ、どうしたものか――と、考えてあぐねて言葉も出ない――――。
「チラッ――」
「チラチラッ――」
白々しくりおんの様子を伺う――。
「う、さっきのキス紛いの契約は、はったりか――このステッキ、本当に契約するまでここに居座るつもりだ――――」
心で囁いたりおんは、彼の策略を読み取った――――。
もう、どうにでもなれ――諦めと、投げやりに満ちた口調でりおんは言う――。
「わかりましたっ――」