適当魔法少女・りおん
りおんを励ます――。
「うーむ、りおんの適当さを差し引いても、魔法少女になりたてで基礎訓練もなしにここまでとは――――りおん、やるな――」
一人、満足げにステッキさんは心で笑みを浮かべる――。
「勝ったな――」
ステッキさんが、キメ台詞を飛ばした――。
しかし――――
「ふぁ――」
「ふぁぁ――」
「はぁああっくしょんっ――」
緊張感なのか、重さに耐えきれなかったのか、或いは別の理由からなのか――くしゃみをしてしまったりおん――。
集中力と意識が途切れ、また、くしゃみをした反動でスラッシュ弾がステッキさんから離れ、「下の世界」へ墜ちてゆく――。
「ああああーっ――」
目玉が飛び出すという、昭和的なリアクションでステッキさんが叫び、慌てる――。
「えへへっ――ごめんね――」
緊迫感のない、りおんの謝罪――。
「いやいやいやいやっ、りおんさん――これはシャレになんないよっ――」
「えっ、何で、どうして――どうせ大気圏で燃え尽きちゃうんでしょ――」
適当魔法少女の本領が発揮された――。