適当魔法少女・りおん
せっかくの見せ場を途中で遮られ、適当な名前をつけられ項垂れるステッキさん――。
「私にも、ちゃんとした名前があるのだがね――」
「まぁ、今はステッキさんという事にしておこう――――で、魔法少女になる決心はついたかな――」
「はぁ、いきなり現れて、いたいけな女の子の裸見て、魔法少女になって――なんて、そんな事すぐに決められる訳ないじゃない――」
「だいたい、こんな非現実的な現象をすんなり受け入れているわたしに感謝して欲しいくらいなんだから――他の女の子だったら、警察沙汰かステッキさんがぶっ飛ばされて、今頃銀河の彼方に消えてるよっ――――」
「心配ない――最悪の場合は闇魔法を発動して、その娘を――――」
「意味深な低音で、怖い事言わないでっ――」
「いやぁ、冗談冗談っ――ちょっと言ってみたかっただけだから――」
「でも、ホントに最悪の事態になったら――」
「――――」
「いや、そこは何かで取り繕うよっ――」
「いやはや、食いつきがいいねぇ、りおん――大丈夫、怖い事はしないさ――私は紳士だからね――」
「もう、呼び捨てですか――」