適当魔法少女・りおん
「バイト代を下さい――――」
「何を言っている、りおん――」
「いやぁ、現実的な話だよぉステッキさんっ――お金を貰わないと、割りに合わないよっ――下手すれば死んじゃうんだし――」
「りおん、魔法少女はいわば、名誉職なのだ――」
「いや、名誉とか高い地位とかいらないから――それに、小学校を卒業した、幼気な未成年女子を深夜労働させた挙げ句、危険な作業を強要する――これって、明らかに法律違反だよねっ――」
語尾を可愛らしく仕立て、ふんわりと己の優位さを説くりおん――。
「うぐっ――」
「電卓出して――」
身を捻って「出現」させた電卓を掴み取り、りおんは数字を打ち込む――。
「基本時給は、こんな感じで――」
「ええっ、もうちょっと勉強して下さいよダンナぁ――こちとら商売になりやせんぜ――」
「しょうがないなぁ――じゃあ、これで――」
電卓を叩き、「勉強」した時給額を提示する――。
「んーんっ、まぁいいだろう――」
渋々ながらステッキさんは了承する――。
りおんの条件が、なんとか許容範囲内に落ち着いた――。