適当魔法少女・りおん
「ちょちょっと、魔法を使って私との記憶を消すだけさ――」
「それだけ――」
「そう――魔法少女にならないからって、その娘をどうこうするなんて事はしないさ――私との遭遇も忘れ、いつもの日常に戻る――それだけだよ――あくまで、こちら側が無理にお願いしている事だから――――」
何処か寂しく、ステッキさんは言った――。
「そのお願い事を、どうしてわたしに――」
「禁則事項ですっ――」
「また、ネタですか――あまりやり過ぎると各方面から圧力がかかるよ――」
「魔法遺伝子――――」
「えっ――」
「人間には、魔法遺伝子を持つ者がいる――遺伝子を覚醒させ、魔法を有効化させるのが私の役目――そして魔法遺伝子はごく限られた女性のみに存在し、能力が最大限に達する年齢が、ちょうど今のりおんの10代頃という訳さ――――」
「じゃあ――」
「その通り――――りおんも、魔法遺伝子を持つ特別な少女なのさ――」
「わたしが――魔法遺伝子を――――」
「はぁ――――何か――」
伏し目なりおんは、床に言葉を落とした――。
「普通がいいな――」