適当魔法少女・りおん
「無理強いしないなら、わたしは普通の生活がいいんだけどな――」
「そ、そんな事言わないでお願いしますぅ――」
「魔法少女になって、何をするの――まぁ、何かしらの敵と戦うぐらいは想像はつくけれど――」
「おっしゃる通り――」
「で、敵って――」
「禁則事項ですっ――」
「お帰りはあちらです――さようなら――」
窓を指差し、質問をはぐらかすステッキさんに退室を促すりおん――。
「ああっ、冗談です冗談っ――んもぅ、せっかちさんなんだから――」
「あんたがそうさせてるんでしょうがっ――」
「敵――そう、敵といえば敵になるのかな――――色々、入り組んでいて上手く説明できない――」
「そう――――」
ここでりおんは一連の問答を打ち切った――。
のらりくらりとはぐらかしながらも、上手く説明できないというステッキさんの声色と表情に、深い信憑性が感じられた為だった――無論、それもはぐらかしの一部で、敵が何であるかなど知らない筈がない事はりおんもわかっている――――。
記憶を――消して――――。
りおんの気持ちは決まっていた――。