薬指の約束は社内秘で
この場を立ち去った背中を瑞樹は何か言いたげな瞳で見つめていて、そんな瑞樹にも聞きたいことはたくさんある。

だけど――……

乾いた下唇をギュッと引き結び、葛城さんの後を追うように秘書室を後にした。



質感の良い絨毯の上を息をきらし小走りする。

階段の踊り場で葛城さんに追いつくと、息を呑ませる呟きが彼から漏れた。


「アイツと俺は、従兄弟同士だ」
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