薬指の約束は社内秘で
やらかしぶりって……
耳が痛い言葉だけれど、いまだけは否定出来ませんよ。
ははっと苦笑いを返すと葛城さんはホッとしたように表情を和らげた。
「否定されなくて、よかったよ」
少し小馬鹿にされながらも、そんな何気ない一言がたまらなく嬉しくて。
見つめ合って笑いあえる、この時間が何よりも愛しくて。
変わらない平穏な日々は――、
こんな小さな幸せの積み重ねで築き上げられているのなら、
日常に潜んでいるささやかな幸せをいつも感じ取れる自分でいたいと思いながら、絡み合う指先に少しだけ力を入れる。
指先からの伝わる温もりに松田課長から託された願いが頭に過った。
『優生は会長から任された立場上、強引なやり方を通すことから『血の通っていない冷徹で非情な人間』なんて噂されることもあるけど。
でもね、藤川さん。僕はそんな噂が立つ度に思うんだ。
本当は誰よりも優しくて他人を気遣える子だから、今度は目に見えない傷を心の奥底に作ってるんじゃないかって。
だからもしこの先、彼ひとりでは耐えきれない傷を負った時には、彼の支えになってあげてほしい』
耳が痛い言葉だけれど、いまだけは否定出来ませんよ。
ははっと苦笑いを返すと葛城さんはホッとしたように表情を和らげた。
「否定されなくて、よかったよ」
少し小馬鹿にされながらも、そんな何気ない一言がたまらなく嬉しくて。
見つめ合って笑いあえる、この時間が何よりも愛しくて。
変わらない平穏な日々は――、
こんな小さな幸せの積み重ねで築き上げられているのなら、
日常に潜んでいるささやかな幸せをいつも感じ取れる自分でいたいと思いながら、絡み合う指先に少しだけ力を入れる。
指先からの伝わる温もりに松田課長から託された願いが頭に過った。
『優生は会長から任された立場上、強引なやり方を通すことから『血の通っていない冷徹で非情な人間』なんて噂されることもあるけど。
でもね、藤川さん。僕はそんな噂が立つ度に思うんだ。
本当は誰よりも優しくて他人を気遣える子だから、今度は目に見えない傷を心の奥底に作ってるんじゃないかって。
だからもしこの先、彼ひとりでは耐えきれない傷を負った時には、彼の支えになってあげてほしい』