薬指の約束は社内秘で
不満げに頬を膨らませる愛美に、ごめんね、ともう一度謝ってから、首を捻る。
何かが気になったんだけど、なんだったんだろう?
実家でよくお父さんが出掛けたと思ったら戻ってきて、「忘れ物が何だったのか、忘れちまったぞ、コノヤロー!!」と弟を巻き込んで暴れていたのを思い出す。
(あぁ。いまなら、お父さんの気持ちがよく分かるよ。
言葉にしようとしたら忘れちゃうのって、こんなにも背中がムズ痒いものだったんだなぁ)
「もうっ! そんなこと言うなら、愛の恋人に会いに行っちゃうんだから」
「えぇ!? ちょっと待ってよ、愛美!!」
実家でのお父さんと弟のつっかみあいを懐かしんでたら、愛美が目の前にそびえ立つ自社ビルに向かってスタスタと歩き出す。
うわっ、会社でご対面とか、全社員にバレちゃうし!
慌てて愛美に駆け寄り私よりも背の高い彼女の肩を掴むと、私達がいる場所とは反対方向から会社に向かって歩く葛城さんの姿が視界に入った。
何かが気になったんだけど、なんだったんだろう?
実家でよくお父さんが出掛けたと思ったら戻ってきて、「忘れ物が何だったのか、忘れちまったぞ、コノヤロー!!」と弟を巻き込んで暴れていたのを思い出す。
(あぁ。いまなら、お父さんの気持ちがよく分かるよ。
言葉にしようとしたら忘れちゃうのって、こんなにも背中がムズ痒いものだったんだなぁ)
「もうっ! そんなこと言うなら、愛の恋人に会いに行っちゃうんだから」
「えぇ!? ちょっと待ってよ、愛美!!」
実家でのお父さんと弟のつっかみあいを懐かしんでたら、愛美が目の前にそびえ立つ自社ビルに向かってスタスタと歩き出す。
うわっ、会社でご対面とか、全社員にバレちゃうし!
慌てて愛美に駆け寄り私よりも背の高い彼女の肩を掴むと、私達がいる場所とは反対方向から会社に向かって歩く葛城さんの姿が視界に入った。