薬指の約束は社内秘で
あぁ。もう本当にっ、神様! 昨日会議室で出会った直前まで時間を戻してください!!(そしたらお茶の依頼を全力で断るのに)
そんな風に天を仰いでみたって、初詣と困ったときの神頼みでしか神社に行かない私の願いを神様が都合よく聞き入れてくれるはずもない。
こうなったら仕方ない。適当に嘘をついても顔でバレてしまうなら、正直に話すしかないよね。(でもそんなに分かりやすいのかな、私?)
水が入ったグラスを一気に飲み干す。
覚悟を決めてグラスをギュッと握りしめると、隣から伸びてきた長い指先に奪い取られた。
空になったグラスをサイドテーブルに置いてくれた彼は、不愛想で嫌みなことも言うけど、さりげない気遣いができる人だ。
ちゃんと話せば、きっとわかってくれる。秘密にしてほしいって言ったら口外しないと思った。
一度小さく息をついてから、社内で誰にも話したことのない過去を口にした。
「彼とは、入社前まで付き合ってました。彼は初恋の人で、いまはそれだけの関係です」
自分でも驚くほど冷静な声で話せたのは、強がりじゃない。もう終わったことだから――
そんな風に天を仰いでみたって、初詣と困ったときの神頼みでしか神社に行かない私の願いを神様が都合よく聞き入れてくれるはずもない。
こうなったら仕方ない。適当に嘘をついても顔でバレてしまうなら、正直に話すしかないよね。(でもそんなに分かりやすいのかな、私?)
水が入ったグラスを一気に飲み干す。
覚悟を決めてグラスをギュッと握りしめると、隣から伸びてきた長い指先に奪い取られた。
空になったグラスをサイドテーブルに置いてくれた彼は、不愛想で嫌みなことも言うけど、さりげない気遣いができる人だ。
ちゃんと話せば、きっとわかってくれる。秘密にしてほしいって言ったら口外しないと思った。
一度小さく息をついてから、社内で誰にも話したことのない過去を口にした。
「彼とは、入社前まで付き合ってました。彼は初恋の人で、いまはそれだけの関係です」
自分でも驚くほど冷静な声で話せたのは、強がりじゃない。もう終わったことだから――