薬指の約束は社内秘で
そうそう。そっちの方がキャラに合ってる。きっとものすごい毒を吐いて蹴散らしてくれたんだろう。

どんな毒舌で撃退したのかと胸を高鳴らせて待つと、葛城さんは視線を斜めに泳がせた。少し焦るような仕草に、「えっ」と息を呑む。

「違うんですか? じゃぁ、どうやって……」

「買収した」

「は?」

「安すぎて驚いたけど」

「安すぎって――おっ、お金で解決したんですか!?」

思わず声を裏返すと、更に斜め上をいく言葉が返される。

「冗談。そんなことより、そのお気楽な性格をどうにかしろよ」

呆れ果てたため息をつかれ、タチの悪い毒舌まで連発される。
「ちょっと待て!」と、噛みついてやりたい気持ちを全力で抑えた。

性格とか葛城さんには絶対言われたくない。あぁ、でも! でもでも、助けてもらったのは事実だし。
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