薬指の約束は社内秘で
そんなわけで「どうしたものか？」と、週末頭を悩ませ出した結論が今の状態にある。

昼休みを利用してテレビや雑誌で人気のカフェに行ってきた。

葛城さんのお金と時間を無駄にしたお詫びにはならないだろうけど、少しは喜んでくれるといいな。

右手にある白いケーキボックスに視線を落としてから、開かずの扉の前でコホンッと咳払いをしてみる。
体と耳を扉に寄せる。じたばたと足踏みもしてみる。こんなにも頑張ってるのに扉は何をしても無反応。

葛城さんが中にいれば問題ないんだけど。
もしいなかったら、この白いボックスを見て経営統括室の人達が何を思うのかが気になるんだよね。

今年から査定関係にある社員同士のお歳暮類は禁止されている。
いつもお世話になっている上司へささやかな気持ち程度なら、どこの会社でもあることだろう。

でもある一部の社員の間で、部下から上司へ高額の進物が贈られているのが問題になった。
さりげない会話の中で、社内評価に色目をつけることをちらつかせる上司もいたらしい。

社内の聞き取り調査で葛城さんが明らかにし、『そうなると正当な評価にはならない』と上層部にかけあったと噂で聞いた。
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