薬指の約束は社内秘で
震える心を落ち着かせる低い声が、心に、体に染み渡っていく。


「だから、また会うことができて、一緒に仕事が出来て、嬉しかった。ありがとう……」


それはきっと、私から言わなきゃいけない言葉。
でも、一番言ってほしかった言葉だ。

まっすぐな想いを伝えてくれた彼に、胸がいっぱいで返す言葉が見つからない。

でも、その間も警笛を鳴らすような鼓動の震えは体全体に伝わっていって、頭の隅に浮かんだある考えに、背筋がスッと冷えるのを感じた。
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