薬指の約束は社内秘で
そんな彼が、どうして付き合っていた私とちゃんと向き合わず、愛美と付き合うような不誠実なことをするんだろう?

それと想い出の場所で葛城さんから話を聞いたとき、不自然なものを感じた。
何より、いまの愛美の一言が決め手となった。


葛城さんは普段、コーヒーと緑茶しか飲まない。
緑茶以外で茶と名の付くものを昔から好まないと、ついこの間も言っていたばかりだ。

私の言葉に愛美は顔を引き攣らせる。

それは、嘘を認めたも同然。やっぱり愛美は嘘をついていた――


「でも、どうしても分からない。愛美がなんで、そんな嘘をついたのか」

それがわからないから、彼女の嘘を簡単に信じてしまった。
彼を信じることが出来なかった自分を怨んだ。
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