薬指の約束は社内秘で
『この子は悪くないよ! 私が一緒にいてって、お願いしたの!!』

葛城さんを責め立てる女教師の前に立ちはだかって、何かに耐えるように両手を握りしめた彼を嘘をついてでも、何をしてでも、ただ守りたかった。


説明のつかない想いに駆られ体が動いた理由を。

これからもきっと私にしか出来ないことを伝えたいって思った。


息が苦しい。だけど、辛いとは思わない。胸が震える。

だけどこれは、一度諦めかけた言葉を伝えられることが、泣けそうなくらい幸せで、嬉しくて、仕方がないから。

喉の奥が震えて一度大きく息を吐く。
心配げに揺れる瞳をまっすぐ見つめて声にした。


「初めて会った時からっ……見えない痛みを堪える葛城さんを見てると誰よりも先に体が動く。

自惚れかもしれない。でもそれが――これからも私にしか出来ないことだって、思ってるんです」

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