薬指の約束は社内秘で
胸を震わす想いを吐き出すと葛城さんの瞳が潤みを増したように見えた。

それだけで、また言いようもない愛しさが込み上げる。

いまできる一番の笑顔を浮かべると、言葉を失っていた彼が柔らかい笑顔で応えてくれる。

それだけで泣けちゃうくらい幸せな気持ちになれる私は、どれだけ彼のことが好きなんだろう。


葛城さんの長い指先が私の頭を優しく引き寄せる。

想いのすべてを伝え合うような優しくて心地良いキスを何度も重ねて、幸せの熱で高まった体ごと彼の腕が包み込んでくれる。

息継ぎの度に唇がそっと離れて見つめ合って。

幸せの熱で赤く染まった瞳が、少し照れくさそうに細まっていく。

「やられたな……」

「やってやりました」

いたずらっぽい笑みを返すと優しくベッドに組み敷かれる。
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