〜双子の憂鬱〜
「また来ます。」
店を出るときにそう言う。
柔らかな微笑みの二宮はうん、と頷いた。
「敬語、やめよう?
ユウちゃんってどんな字なの?」
問いかけにゆっくりと答える。
「理由の由に、有り無しの有りの字で”由有。分かりにくいでしょ。」
大河内にも尋ねられたな、こんな風に。
「そっか、由有か。
俺も陸でいいから。なんか二宮さん、って変な感じでね。」
「わかった。じゃ、また来るね、陸。」
ぎゅ、と握った手のひらから、優しさが溢れた。
色んな意味で似た者同士のあたし達。
仲良くなれるよね。
「またね、由有。」
今度はライバルじゃなく、友達として。