〜双子の憂鬱〜
「え?仕事?」
ある日の夜。
帰って来るなりネクタイを緩めながら大河内はそう言った。
間違いなく、”仕事”だと。
「ああ。お前に頼みたい。」
「いいですよ!何をしたらいいんですか?」
わぁ。なんだろ、どんな仕事だろ。
どちらかと言えばワクワクした気分だった。少なくともこの瞬間までは。
「俺の婚約者役。」
その言葉に固まる。
こんやくしゃ?
こんにゃくじゃなくて???
来ん役者?
違うか。
え?ええ⁈
「こっ、婚約者⁉︎」
驚きのあまり、絶叫。